先行技術調査は重要です。

  • 投稿者:
  • 投稿の最終変更日:2023年6月3日
  • 投稿カテゴリー:特許
  • Reading time:1 mins read
新たなサービスや製品を創造して社会に提供していくことは、やりがいのあることです。しかし、苦労して実現に漕ぎ着けた事業が後から他人の特許権を侵害していることに気づいた、といった事例は意外とよくあります。特許権侵害を訴えられ、敗訴が確定すると、事業は差し止められ、損害賠償を請求され、信用も失う、といった様々な不利益が生じます。 また、特許出願は、特許されていなくても、出願から一定期間が経過したら公開され、特許公報に掲載されます。これは、他の企業が何を開発しているか知るための絶好の資料です。開発者にとって特許公報は、業界動向を俯瞰するためにも普段から触れておくことが望ましいものです。 スタートアップ企業の皆様にとっては当然のことと思いますが、新規事業の開発は、他人の特許権や特許出願の監視を抜きにして考えられないものです。
特許庁のWEBサイト(https://www.jpo.go.jp/support/startup/index.html)にも案内されていますように、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を使うと、特許公報を無料で閲覧することができます。詳しい使い方は、特許情報プラットフォームのヘルプをご参照いただくとして、ここでは特に便利な2つの機能について取り上げます。 1つ目は、特許・実用新案検索の「条件を論理式に展開」ボタンです。このボタンは、特許・実用新案検索で「選択入力」タブを選択すると、下にある「検索」ボタン、「クリア」ボタンの右側に現れます。この画面は、検索項目を選択し、それぞれにキーワードを入力して、特許公報を検索するものです。検索項目とは、特許出願のどの範囲を検索対象とするか、とか、発明の内容がどう分類されたか、等を指定する項目です。すでに開発中の事業があるスタートアップの皆様にとって、関心のある内容は、おおよそ決まっていると思いますが、毎回、検索項目を選択し、そのそれぞれにキーワードを入力していくのは手間です。そこで、この「条件を論理式に展開」ボタンが活躍します。このボタンを押すと、選択項目とキーワードの組で出来た検索条件が、論理式に展開されるのです。 例えば「全文」に「word2vec」、「請求の範囲」に「形態素解析」を入力する場合、展開される論理式はこの文字列です。 [word2vec/TX]*[形態素解析/CL] この文字列は、特許・実用新案検索で「論理式入力」タブを選択すると現れる「論理式」入力欄で使うことが出来ます。単なる文字列なので、例えば、コピー&ペーストして関係者にメールで送信することも出来て便利です。なお、特許公報は、同じ内容でも異なる表記で記載されている場合がありますが、特許・実用新案検索は、キーワードを異なる表記に展開(異表記展開)して、それらも含めて検索してくれるので、異なる表記の全てを入力する必要はありません。例えば、異表記展開のおかげで、アルファベットの大文字と小文字、全角と半角等の違いは考えなくても済むので、上述した「word2vec」を入力すれば、「WORD2VEC」や「Word2Vec」を入力する必要がありません。 2つ目は、「検索結果一覧」の「URL」ボタンです。このボタンは、特許・実用新案検索で「検索」ボタンを押してヒットした対象案件が見つかると、それらのそれぞれに現れます。この「URL」ボタンを押すと、対象案件のみが表示された状態の「検索結果一覧」画面のURL情報がクリップボードにコピーされます。例えば、先日ご紹介したマピオン特許の場合、特許・実用新案照会(固定アドレス)のURLは以下の通りです。 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-H07-179227/0F13558337FDC89A7E23AE72D06A61977382DF518F117074B18D58D838D3721C/10/ja 特許公報は、その特許出願番号、公開番号、特許番号等さえ知っていれば、特許情報プラットフォームの特許・実用新案番号照会で検索することもできますが、番号照会画面に移動して入力する、という2段階の手間がかかります。一方、このURLは、クリック一つで直接「検索結果一覧」画面を表示させることができるので、メール等で情報共有をするのに便利です。 以上、特許情報プラットフォームで便利な2つの機能についてご説明いたしました。ただ、特許情報プラットフォームは、例えば、概念検索等の高度な機能を提供していません。また、特許・実用新案検索で入力する検索条件は込み入った事例だと特に作成するのが難しく、検索した特許公報を読み込んで開発案件との差異を見極めることも時間がかかります。弊所は、先行技術調査も承っておりますので、よろしければご相談下さい。