商標出願を検討する際に、まず会社名(商号)について商標権を取得しようと考える方は多いと思います。 特に、スタートアップにおいては、販売する商品・提供するサービスの名称と会社名とが同じであることが多いです。 会社名は必ず登記しなければなりませんが(商業登記法)、
登記ができたからといって、会社名についても必ず商標権を取得できるわけではありません。 商品の販売・サービスの提供を開始した後になって、
商品・サービスの名称が他人の登録商標と同じような商標であることが発覚した場合、又は
協業他社等の他人が自社商品・サービスの名称と同じような商標について商標権を取得してしまった場合、自社は今まで使っていたその商品・サービスの名称について使用できなくなってしまいます。 実際に、このような状況に直面し、商標を変更しなければならないような事態に陥ってしまうケースは少なくありません。 また、自社商品・サービスの名称の使用が他人の商標権を侵害する場合、その使用ができなくなるだけでなく、
損害賠償を請求される可能性もあります(民法709条)。 このような事態を避け、安心してビジネスを行うためにも…
あらかじめ商品・サービスの名称について調査し、商標登録(商標出願)を済ませておくことが非常に大切です。 商業登録が認められない例として、代表的なものを以下で紹介します。
(1)同じような商品・サービスについて、同じような商標がすでに出願または登録されている場合(商標法4条1項11号、15条の3)
| すでに登録されている他人の商標
※商標「朝日」は弊所の登録商標です。
(第4714753号) | 自分が出願する商標 |
マーク | 朝日 | ASAHI |
商品又は
サービス | 知的財産(特許、商標等)に関する業務
(工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務) | 法律業務
(訴訟事件その他に関する法律事務) |
左側は弊所のような「特許事務所」、右側は遺産相続、交通事故等の一般法務を扱うような「法律事務所」を想像してください。 この場合、右側の「ASAHI」は、すでに登録されている左側の「朝日」と、『あさひ』の読み方が同じであること、及び、提供するサービスが法律分野で似ていることから、
後出しとなる右側の「ASAHI」は登録を受ける(商標権を取得する)ことはできません。 しかしながら、
同じようなマークであっても、商品・サービスの分野が共通していなければ、登録を受けられる可能性はあります。 例えば、『朝日』、『アサヒ』、『ASAHI』等の文字を含む商品・サービスに関する商標登録は、以下の通り複数あります。 「同じ名前の商品・サービスがあるんですけど、大丈夫ですか?」と、ご質問いただくことがありますが、何も問題ありません。下記の商標はどれも適法に登録されています。
登録番号 | 第544581号 | 第618172号 | 第3010823号 |
マーク | | | |
商品又はサービス | ゴム | 豆腐 | 広告 |
これ以外にも商標登録ができない理由は多くあり(例えば、「地名」と「商品」とから構成される商標、他人の氏名や名称等を含んでいる商標 等)、個々の商標について専門的な判断が必要です。 会社名、個々の商品・サービスについて商標登録をお済ませでない方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。 また、スタートアップの方には、
特別プランの提供もしておりますので、是非一度、弊所にご相談ください。