知財はスタートアップの生命線

スタートアップの皆様は、独自の事業アイデアを世に出すべくご尽力されていると思います。独自の事業アイデアには、多くの知的財産が伴います。それらの知的財産を守り育て活用できるか否かによって、スタートアップの成長の速度と規模が大きく変わってきます。
知的財産には主に以下の6つがあります。 (1)特許権 (2)意匠権 (3)商標権 (4)著作権 (5)ノウハウ (6)営業秘密 (1)~(3)は特許庁に権利取得のための申請(出願)を行い、一定の審査をパスしなければ手に入れることができません。(1)~(3)は「知的財産権」とも呼ばれます。 一方、(4)~(6)は日々の業務の中で自然に発生し蓄積されていく知的財産です。ただし、(4)の著作権には登録制度があります。著作権は著作物が創作された時点で自動的に発生しますが、類似する著作物のオリジナル性が争われるような場合に著作権の登録が役立ちます。 (5)(6)には、出願や登録のような制度はありません。そのため(5)(6)は軽視される傾向がありますが、例えば顧客情報の流出により企業が受けるダメージを想像して頂くと、決して軽視できない財産であることがご理解頂けると思います。 企業にとって、(1)~(6)の知的財産はいずれも重要です。しかし、スタートアップのリソースは限られています。従って、限られたリソースを用いて、どのようにこれらの知的財産を獲得し守り活用してゆくのか、という知財戦略は、スタートアップにとって極めて重要です。 上に述べた(1)~(6)のうち、特に(1)~(3)は取得のために多くの費用を要します。例として、主要国(地域)で特許権を取得するために平均的にかかる費用を以下に示します。(取得後の維持費用は含みません。)
日本100万円
アメリカ250万円
中国150万円
ヨーロッパ350万円
上記の費用は1件の費用です。従って、取得すべき特許権の数が2つ、3つと増えれば、発生する費用も2倍、3倍となります。 これらの金額をご覧になって、特にプレシーズ期やシーズ期のスタートアップの皆様は、「特許権の取得は今すべきことではない。もっと多くの資金が調達できるようになってから考えよう。」と思われたかも知れません。 しかしながら、とても酷なことに、(1)~(3)の知的財産権、すなわち、特許権、意匠権、商標権は、一度取得の機会を失うと、二度と取得の機会が与えられない権利なのです。そして、これらの知的財産権の取得の機会を失うと、その後のスタートアップの成長は大きく制限されることになります。 すなわち、できるだけ早いステージで、知的財産権の取得・維持のための費用を織り込んだ資金調達計画を立てることができるか否かが、スタートアップの生死を分けるといっても過言ではありません。そのため、私たちは、スタートアップのお客様が知的財産権重視の資金調達計画を立てることができるように、知的財産権の取得・維持のために、いつ、いくらの費用を調達する必要があるか、という情報をタイムリーにご提供致します。 また、知的財産権は資金調達において強いアピールポイントとなります。従って、取得した知的財産権は次の資金調達のために最大限、活用したいものです。そのため、私たちは、投資家向けのプレゼンに必要となる知財関連コンテンツの作成をお手伝い致します。

小谷 明生

副所長・弁理士。化学以外のあらゆる分野の案件に旺盛な好奇心で対応します!