新型コロナのピンチをチャンスに!

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  • 投稿の最終変更日:2023年6月4日
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日本の新型コロナ感染者が10,000人を超えてしまいました。隣国の韓国では、新型コロナの封じ込めに成功しつつある、という良いニュースが聞かれる一方で、残念ながら日本では、爆発的感染拡大の前夜のような空気が流れています。
(出典:時事ドットコムニュース、2020年4月18日、「国内感染者1万人超える 9日で倍増、歯止めかからず―新型コロナ」) そのような状況下において、私たちの事務所は今週から、原則、全員在宅勤務の体制となりました。ファイヤーウォールや情報監視ソフト等で守られている事務所のPCを、暗号化通信によってリモート操作することで、特許事務所に求められる高い情報セキュリティを確保しつつ、従来(beforeコロナ)と遜色ない業務の提供に努めております。 皆様の生活はbeforeコロナと比較して、どのように変化したでしょうか? 私の場合、在宅勤務になって、とりあえず、運動不足による体重増加と、画面ばかり見ることによる眼精疲労に苦しんでいます。そして、外出できないことによるストレスがじわじわと蓄積しているのを感じます。 このように、新型コロナは人々に多くのマイナスの影響を与えているわけですが、少なからずプラスの影響も与えてくれている、と感じています。例えば、在宅勤務になり、不要になった勤務時間を有効利用できるようになりました。また、お客様との打ち合わせのほとんどがWeb会議となり、打ち合わせのための移動時間も有効利用できるようになりました。 また、昨日、政府が「はんこ文化」の見直しに本腰を入れる、というニュースが流れました。新型コロナという絶対的な外圧を受けて、今まで先延ばしになっていたペーパーレス化の動きが一気に加速するかも知れません。特許庁の手続きにも、出願人の押印した書類の原本がなければ行うことができない手続きが多くあります。それらの書類が電子的に提出できるようになれば、出願人の皆様の負担も軽減されます。 仮に日本でこれから新型コロナの封じ込めが成功したとしても、欧米でこれだけ感染が拡大した状況下では、世界が正常化するには1年単位の時間を要すると思われます。そのため、「withコロナ」という言葉とともに、新型コロナと上手く付き合いながらどのように生活し、どのように社会活動を行っていくか、という点が議論され始めました。 また、望ましくは遠くない未来に新型コロナが収束した後には、人々はbeforeコロナと同じ行動様式には戻らず、新しい行動様式に従い生活や社会活動を行っていくだろう、と思われます。そして、「afterコロナ」という言葉とともに、新型コロナの収束後の世界も議論され始めました。 人々の行動様式に変化が生じれば、そこには多くの新しいニーズが生まれます。新しいニーズが生まれるということは、多くのビジネスチャンスがそこにある、ということです。 例えば、在宅勤務に伴いZoomというWeb会議システムが急速に普及していますが、Zoomは、SNSに例えるならば、アメブロのような位置付けだと思います。そして、SNSにおいてTwitterやFacebookが登場したように、Web会議システムにおいても、今のZoomよりもっと人々の生活やビジネスにフィットした新しいシステムが求められてゆくだろう、と思います。また、今回、多くの人々がWeb会議システムを使い始めたことで、Web会議システムを利用した新たなビジネスモデルが次々に生み出されるのではないか、と思います。Web会議は物理的な距離という壁を取り除くので、それらのビジネスモデルのマーケットは必然的にグローバルになります。 また、直接、人や物に触れることが制限されることで、生活の中では一部のゲーム好きにしか普及していないVR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術が一気に普及するかも知れません。奇しくも先日発売されたiPad Pro (Early 2020)には、LiDARスキャナという多くの人には聞き慣れないデバイスが搭載されています。LiDARスキャナは物体までの距離を2次元的に測定し、3次元画像(距離画像)を生成する装置です。LiDARスキャナが生成する3次元画像は、AR世界をよりリアルにします。 通信販売がより普及する中で、卸売業者を通さない商品直販のシステムが注目されたりもしています。例えば、新コロナの影響で大手外食店のマーケット減少により余った農作物が、食べチョクという農家直送のネット通販システムを通じて多く販売されているそうです。 新コロナをきっかけに、今まで通信販売では売れない、とされていた商品の通信販売のマーケットが新たに生まれるかも知れません。 私が個人的に欲しいと思っているものは、2メートル以内に人がいると音がなるデバイス。そんなデバイスがあれば、ソーシャルディスタンシングが自然と身につくのではないでしょうか。他にも、生活のリズムを整えてくれるアプリや、離れて仕事をしている同僚と仕事をしながら気軽に声を掛け合えるアプリなども誰か開発して欲しいと思います。 ところで、上述したWeb会議システムやVR、ARといった技術は決して新しい技術ではありません。従って、既にそれらの技術に関し、様々な特許出願が行われています。それらの特許出願の内容を見れば、今生まれている新しいニーズを解決するためのアイデアに気付くきっかけが見つかるかも知れません。また、新しいニーズを満たすための技術が分からなくても、そのニーズと共通の課題を解決する発明が記載された特許文献を検索し読むことで、ソリューションへのヒントが得られる場合もあります。 このブログを読んで頂いている皆様には、是非ともwithコロナ、そしてafterコロナに必要なニーズにいち早く気付いて頂き、この新型コロナのピンチをビジネスチャンスに変えて頂きたいと思います。

小谷 明生

副所長・弁理士。化学以外のあらゆる分野の案件に旺盛な好奇心で対応します!