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海外展開と特許

事業を海外展開するとき特許はどうすればいいのでしょうか。まず海外で特許を出願するためには「1年」という期限を忘れないで下さい。

基本的に注意していただきたいのは、特許制度は国毎に独立している、という点です。特許は国毎に成立するので、例えば日本で特許を取ってもそれはアメリカでは使えません。一部のメディア等で「世界特許」という言葉を目にすることもありますが、少なくとも2019年時点において、全世界共通の単一の特許制度は存在しません。政治の世界でも、ヨーロッパが一つの国のようにまとまりそうかと思いきやイギリスがEUを脱退するとかしないとか揉めてたりして、複数の国々にまたがって単一のシステムを形成するというのはなかなか難しいようです。

海外での特許出願に関しては、まず「1年」という期限を頭の片隅に入れておいて下さい。これは「優先権」というもので、ざっくり言うとまず日本で特許出願をしてから外国で特許出願するまでの猶予が与えられるシステムです。世界のほぼ全ての国(例外はアメリカ)で特許は早く出願した者勝ち、という「先願主義」を採用しています。

一つ仮想的な例を考えてみます。A社が2019年5月15日に日本で特許出願しました。A社は中国で事業展開を考えており、中国でも特許を取ろうとします。中国で特許を出願するには、当然、書類を中国語で作成しなければなりません。明細書等の書類を中国語への翻訳するには通常1~2か月の時間がかかります。この間、例えばA社とは別のB社が、同じ発明について2019年6月1日に中国で特許出願してしまいました。「先願主義」の原則に従うと、中国に関してはB社に特許を取られてしまいます。本当はA社の方が先に発明をしていたのに、翻訳等の手続のせいで特許を取れなくなってしまうのはかわいそうだよね、ということで1年間は猶予が与えられることになりました。これが優先権です。先の例ではA社が2019年5月15日に日本で特許出願してから1年間、つまり2020年5月15日までは猶予が与えられ、この期間内に中国で特許出願をすれば、中国でも2019年5月15日に特許出願したことになります。

ということで海外展開が念頭にあるスタートアップの方は、日本で特許出願をしてから1年という期限があることを覚えておいて下さい。

Posted in スタートアップの知財戦略 , 特許

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